会議中かな。
って、寝込んでるかと思ってたのに、元気じゃない。
心配そうに見てる。
……あ、あなたは……
こんにちは。
そして流れるように中へ。
……よう。コブラ傭兵団の、りぃ、だったな。久しぶりじゃねえか。どうした?
元気かな、と思って。
会議中に勝手に入ってきたのに怒らないんかい。
……。
解散させた。
ひょっとしてオレの体を心配してくれたのかい?あの、奴らから受けた呪痕……。
ふふ、有難えが、杞憂ってもんだ。なめてもらっちゃ困る。仮にも鉄鷹騎士団を率いる身、そう易々と……
あらっ、めまい?
ぐっ……
ええー!?
ラジュリーズさま!
……大丈夫だ。心配ない。
でもっ……
全然大丈夫じゃないでしょうよ!
……りぃ、頼みがある。この傷のことは、秘密にしてくれ。一切、他言無用だ。
いや、でも…。
今が大事な時期なんだ。鉄鷹騎士団はラテーヌ会戦で半壊したが、オレがやっと立て直した。ようやく、皆に、この戦いを、勝ち抜く自信が芽生えたところだ。
上にいるオレが倒れちゃ、何もかも台無しよ……。頼む……。
……わかった。
恩に着るぜ……。それでこそ、オレがダチと見込んだ女だ。
じゃあな。これから軍議があるから、失敬するぜ。
ラジュリーズさま……
……ずっと、あんなふうなの。本当は、すごく体がお悪いの……。日増しに、少しずつ、弱っていかれるのがわかるわ。でも、鉄鷹の皆さんの前ではずっと気丈にふるまっていらっしゃって……
わたし……心配で心配で……
ああ、目に涙が…。
このまま、あの呪痕がひどくなってしまったら……ラジュリーズさまが倒れて……いなくなって……しまわれたら……わたし、どうしよう……
何と言ったらいいか分からないけど、はげますしかない。
大丈夫。なんとかなるよ。
少なくともリリゼットが生まれて父親の記憶が残るくらい大きくなるまでは生きてるわけだし。
……ありがとう。りぃさん、優しいのね。
ふふ、リリゼットが懐いてるのもわかる気がするわ。
懐かれてるの!?
あんなふうに気が強くて月影の狼なんて呼ばれてるけど、本当は優しくて、さみしがり屋の女の子だもの。
わたしにだけ、教えてくれたの。あの子、だいぶ前に、御両親を亡くしてからずっと独りぼっちだったんですって……。
ラジュリーズは呪いのせいだとして、ポーシャはどうしてだろう。
って前も言ったような気が。
どうか、リリゼットの力になってあげてくださいね。りぃさん。
うん。
わたし、あなたたちを見てたらなんだか、とってもほのぼのした気分になったの。どうしてかしらね?
ほのぼの?
リリゼットは分かるけど、どうして私込みなんだろう。
え?そのリリゼットはどこにいるのかって?
それが……なんだか、ネコ?を捕まえるとかで舞踏団のみんなを連れて出かけちゃったのよ。ジャグナー森林に行くって言っていたけど、どうしてるかしら……?
敵の本拠地の近くまで気軽に行くとか、危ないなぁ。